現実の残酷さ

いや、何がって、クーマンが解任されました。

これで晴れて彼は“前監督”になったわけです。

結果的に彼はいろいろなものを見誤ったわけです。

 

まず第一に、バレンシアの財政力。

これは完全に誤算でした。

なんせ、チームは補強費を捻出することはおろか、クーマンを解任するに当たって彼と彼のスタッフに払う契約解除金（約１７億円）すら捻出することが出来ないのですから。

そもそも、チームを引き受けるに当たって、彼はチームに今冬に複数の選手の補強を申し入れていました。

例えば、ラファエル・ファン・デル・ファールトやウィルビー・エマヌエルソン。

ＰＳＶ時代の教え子であるファルファンやエウレリョ・ダ・シウヴァ・ゴメスである。

当然、こんな買い物は出来るだけの財政力はないのだが、経営陣は彼を呼ぶに当たってかなり気前良くこれらの条件を受け入れたらしい。

実現の可能性は端からゼロなのに。

 

結果的に、自分の戦術にあわない選手たちで戦わなくてはならなかったのはクーマン自身にも気の毒だったが、選手たちにすればたまったものではない。

よくよく考えてみれば、今回の件で“選手としての価値”を下げてしまった選手がどれだけいるだろう。

しかもアルベルダたちのようにその選手生命の終盤に来ての移籍において、これほど大きな損失はないだろう。

両者にとって困ったことに、今シーズンのチームを構成するにあたって集められたメンバーが、クーマンの戦術ではほとんど機能しないような選手が多かったことだ。

これでは冬に大幅な入れ替えをしなくてはチームとして機能するはずもない。

しかし、チームの財政状態がそれを許すほどの状態ではなかった。

これがマンチェスター・Ｕやチェルシー、いや、マンチェスター・Ｃやトッテナムでもいいが、それなりの資金があればよかったが、赤字経営のバレンシアではいかんとも出来なかった。

 

結果的に苦痛以外の何物でもない時間が過ぎて、そして崩壊である。

 

結果的に、クーマンは時期を誤ったのだ。

あのままＰＳＶにいれば、今頃オランダ王者の監督として美酒に酔い痴れていれたはずなのだ。

しかし、何を血迷ったのかバレンシアに行った所為でこの様である。

 

シーズン途中から監督になるというのは余程難しいことなのだ。

基本的にそのときいる選手で戦わなくてはならず、戦術面でも煮詰める時間は少ない。

シーズン開始当初からチームを率いていれば、キャンプ等で選手たちに必要なプレーや認識を刷り込むと共に、足りない選手の補強が出来るが、シーズン途中での就任はそれを難しくさせる。

大体、監督を解任してうまくいくのは余程前任者が下手を打った時か、そこそこうまくいってたチームなら前任者のシステムを概ね継承したときだろう。

今シーズンなら、前者はニューカッスルで、これはアラダイスがチームを掌握しきれなくなり崩壊寸前だったためで、“チームにとっての黄金期”をつくったケビン・キ－ガンを迎え、守備も含め全面的に立て直した。

同じようなチームとしてはトッテナムがそうだろう。

 

一方、後者はチェルシーだ。

結局、チームオーナーの思惑とは違いシェバを中心に据える事はなかったし、怪我人が帰ってきたらモウリーニョ時代と代わったところはほとんどない。

シーズン途中でチームを変えることの難しさを、グラント監督よりアシスタント・コーチのヘンク・テン・カテがわかっていたことに由来するのかもしれない。

もしドラスティックな変化があるとすれば、シーズン終了後だろう。

現在のところは、チームの意識改革（モウリーニョ時代より、全体的に押し上げてコンパクトにサッカーをする。サイドにボールを積極的に散らす。）位のものだ。

 

さてさて、今後のバレンシアがどういう道をたどるかはわからないが、オーナーが今まで通りなので早々変わるわけでもなかろう。

２部に落ちると思うなぁ。

で、チーム売却？？

 

いやだねぇ、それは。

絵に描いたような崩壊で。

 

まぁ、「あとは結果を御覧じろ」である。

タグ：サッカー 解任 クーマン バレンシア テン・カテ チェルシー ニューカッスル・ユナイテッド

コメント 2

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by 見ちゃだめ (2012-02-27 11:19) 

カッコいい！興味をそそりますね(^m^)
by バーバリー (2013-08-01 01:33)